プロフィール

お名前:原田 康嗣さん
出身地:姫路市→オーストラリア
現住所:宍粟市波賀町小野
職業:飲食業(星と月)
年代:30代
移住年月:2021年

オーストラリアから宍粟市へ

この記事では、兵庫県宍粟市で新しい人生をスタートした先輩移住者の貴重な体験談をご紹介します。

今回ご紹介するのは、海外から日本へ帰国し、宍粟市・波賀町で“命のラーメン”を届ける料理人・原田康二さんです。移住に至るまでの紆余曲折や、田舎暮らしのリアルな魅力について語っていただきました。

インタビューの様子はYouTubeにもアップされています。

移住者紹介

今回は、兵庫県宍粟市波賀町のラーメン店「星と月」のオーナーシェフ・原田康二さんにお話を伺っていきたいと思います。

よろしくお願いします!

ラーメン鯛の夢

原田さんも、宍粟市に移住された方のお一人ですが、今日はご都合により、宍粟市波賀町のラーメン店「星と月」の姉妹店、「鯛の夢」さんにお邪魔しています。

お店の場所は、宍粟市の隣にある福崎町ですね。
まずは、この「鯛の夢」について教えていただけますか?

宍粟市波賀町の「星と月」と同じく、無添加・無化調。
こちらは“鯛”に特化したラーメンと料理を出しています。

鯛は“鯛一郎クン”という、愛情を込めて育てられ、人間が食べても大丈夫な餌で育ったものを使っています。

おすすめは「宇和島鯛めし」です。
宇和島は昔、海賊の根城だったと言われていて、その“海賊飯”がルーツです。

刺身と卵かけご飯が合わさったような料理で、栄養価も高いですよ。

それに加えて、うちは「鯛そば」と呼んでいる鯛のラーメンも提供しています。

つまり、鯛の魅力を存分に味わえるラーメンと食事をご用意しているというわけですね!

実は僕も、このインタビュー前にラーメンをいただいたんですが…特にスープがすごかったです!

今日は「汐(ゆうしお)」をいただいたんですけど、本当に驚きました。 正直に言うと、僕は普段ラーメンをあまり食べないんです。 というのも、食べたあと重たくなったり、お腹を壊しやすかったりして…。

ラーメン:汐(ゆうしお)

若いのに何言ってるの!(笑)

いや、本当にそうなんですよ(笑) スープも普段は飲み干さないんですが、今日は全部飲みました!

それはすごい!下げる時に「器、舐めたんちゃうか?」ってくらいきれいだった(笑) 実は、お客様の器を下げるときにスープが残っていないと、「あぁ、料理人として使命を果たせたな」って思うんです。 私の中ではそれが一番の使命です。

料理人としての使命”というのは?

うちでは「命を命で命に」という考えを大切にしています。 自然の命──動物や植物、水など、すべてに命がある。 それを料理としてお客様の命につなぐ。それが私のモットーなんです。

星と月とは?

では、宍粟市波賀町の「星と月」はどういう想いで始められたんですか?

宍粟市波賀町:「星と月」

宍粟市波賀町は播磨の中でも最北に位置していて、豊かな自然に恵まれた場所なんですね。 山あり川あり田園あり。

だからこそ、「播磨の味をラーメンで表現できたらすごいことになるんじゃないか」と思ったんです。 そして始まったのが「星と月」です。

素材も地元にこだわっていると。

はい。水は波賀町・東山の名水、小麦は小野市の「ふくほのか」、醤油は龍野の末廣醤油。すべて地元産。いわば“播磨オールスターズのラーメン”です。

移住前の生活

原田さんは移住前、どんな生活をされていたんですか?

姫路の実家は仏壇屋で、私は漆(うるし)を塗るようなところで。その前は10年ほどオーストラリアにいて、和食レストランを経営していました。

海外でレストランを?

はい。「出る杭を打たれる」日本の同調圧力が苦手で、20代前半でオーストラリアに“逃亡”しました(笑)。

まぁ、逃亡したと言いながら、和食の魅力を伝えたくてレストランを開業しました!

そして、2年後には州の情報サイトで1位に、4年後にはオーストラリア全体でトップ10入りしました。

それはすごいですね!

でも2020年にコロナが来て、ビザがキャンセルに。戻るしかなかったけど、すごく辛かったです。お客様からも「こうじのご飯を食べて元気になりたい」と言われていたのに応えられなかったのが悔しかったです。

それでも「これは日本の祖先が導いてくれたんだ」と思うようにしました。

帰国後~農業

帰国後はどう過ごされていましたか?

帰国後は農業をしようと思いました!

日本の食料自給率って、実はカロリーベースで37%なんですけど、本当に問題なのは野菜のほとんどが外国からの化成肥料や農薬に頼っているということ。
つまり、真の意味での自給率は数%しかない。それを知って、これは本当に危機的だと感じたんです。

そんな時、知人に波賀町を紹介されて、千種町の今井農場さんでの鶏の平飼いを手伝いました。

そこの鶏はすごく美味しいのですが、鶏の骨は産業廃棄物だったんです!

産業廃棄物として捨てられていた骨をもらって、名水と合わせてスープに。

これが「星と月」の原点です。

なぜラーメンだったのか?

なぜラーメンだったんですか?

誰でも食べられるし、命を無駄なく使い切れる。
骨はスープに、出汁がらは発酵させて鶏の餌に。
鶏が産んだ卵は鯛めしに、産まなくなった鶏は担々麺に。

そうやって自然の循環を、ラーメンの中で表現しています。
まさに命の循環です。

でも忘れてはいけないのは、地域の人たちがこの自然を守ってきたからこそ商売ができているということ。天狗にならず、次の世代につなげることが大切です。

大変だったこと

宍粟市・波賀町でお店を始める中で、大変だったことはありますか?

やっぱり「人口より鹿の方が多い」ような環境ですね(笑)。ラーメン屋を始めた当初は不安もあり、小さなことから始めようとキッチンカーで移動販売をしていました。

でも「こんなとこ鹿しかおらんぞ!」と村のおじさんに言われたり、寒さの中でラーメンを食べるお客さんを見たりして、自然の厳しさを実感しました。

移住を考えている方へ

移住を検討している方へのメッセージをお願いします。

私はね、あえて言いますけど「今、田舎に住んでる人こそ勝ち組や」と思っています。

なぜなら、例えば宍粟なら駐車場は無料。自然は豊かで、水も空気も美味しい。

街で物流が止まったら食べられないかもしれないけど、田舎なら、自分で育てれば食べられる。

都会でお金を稼ぐのも大事だけど、「お金だけじゃ食べていけない」というのは、これからの時代すごく大きなテーマになると思うんです。

今後の夢や目標

れからの目標や夢を教えてください。

私は今、「宍粟・波賀から播磨、そして日本へ」というスケールで活動を広げていきたいと思っています。

その一つが、NPO法人「エンジェルファーマーズ」の立ち上げです。参加型農業を通じて、食の未来を自分たちの手で守る仕組みをつくろうとしています。

また、「meet29(ミートニジュウキュウ)」というプロジェクトも進行中です。国道29号線沿いの農家や飲食店などをつなぎ、「人と自然に会える旅」を提案。

鳥取の若桜町とも連携し、新しい観光ルートを生み出そうとしています。

飲食の枠を超えた活動ですね。

ラーメン屋も“ファンづくり”の場だと思っています。「みんなのお母ちゃん」のような存在になって、仲間と一緒に「私たちの食は私たちで守る」という意識を広めていきたいんです。

これらの活動の目的は、すべて「未来の子どもたちのため」。今を生きる私たちが動かなければ、次の世代に申し訳が立たない。田舎でのんびり暮らすだけでなく、ここから未来をつくっていきたいんです。

熱いメッセージをありがとうございました!
本日は、素晴らしいお話をありがとうございました!

関連情報

🍜「星と月」
・公式HP:https://hoshitotsuki.chefkoji.com/
・Instagram:hoshitotuki.haga

🍜「鯛の夢」 〜鯛そばと宇和島鯛めしのお店〜
・公式HP:https://tainoyume.chefkoji.com/
・Instagram:tainoyume

・エンジェルファーマーズ:https://youtu.be/iZlbf9HfhEc?si=eq9L_bls40pTsCgb ・meet29:https://www.instagram.com/meet_29tottorihyougo/?igsh=dmdwd29rcGdhY2Fh#