プロフィール

お名前:松下  幸広さん
出身地:奈良県
現住所:宍粟市千種町
職業:農業・特産品事業経営
年代:30代
移住年月:2020年

宍粟市を中心に3拠点生活

本日は兵庫県宍粟市千種町を拠点に活動されている松下幸広さん にお話を伺います。

自然栽培の農家、特産品ブランド「SENSAI」経営、パーソナルトレーナー、そして自治体のふるさと納税支援という4つの顔を持つ “多拠点・複業スタイル” の実践者。

宍粟・芦屋・多可町を行き来する 3拠点生活 を送りながら、
「自然と向き合うこと」と「人・地域の健康に関わること」を軸に独自の働き方を築いています。

今回はその活動の裏側や、宍粟での暮らしについて深くお話を聞かせていただきます。

インタビューの様子は YouTube でも公開中です。
ぜひ動画とあわせてご覧ください。

自己紹介と4つの仕事

簡単に自己紹介と、今どんなお仕事をされているのか教えていただけますか?

松下幸広と申します。今は宍粟市千種町の“千草”という地域に住んでいます。

仕事は大きく4つあって、
1.畑で野菜を育てる農業
2.野菜・特産品を扱う事業「SENSAI」
3.芦屋市でのパーソナルトレーナー(14年目)
4.ふるさと納税の中間支援(兵庫県多可町など)

この4つを同時にやってます。
つまり今は「宍粟」「芦屋」「多可町」の 3拠点生活 ですね。

↑画像:野菜・特産品を扱う事業「SENSAI」

↑画像:芦屋市でのパーソナルトレーナー

↑画像:ふるさと納税返礼品の撮影業務の様子

移住前の経歴 〜 動物専門学校→家具インテリア→健康産業へ

移住前の経歴を伺いたいのですが、出身は?

奈良県斑鳩町(いかるがちょう)です。20歳まで奈良で暮らしました。

実は動物の専門学校を出ていて、犬のしつけを学ぶドッグトレーナーコースでした。
ただ内定していたペットショップが給料面で厳しく、別のペット部門のある会社へ就職したら、なぜか家具インテリア部門に配属され働いていました(笑)

そこから体調を崩して休職したことをきっかけに、
「やっぱり健康が大事だ」と思って パーソナルトレーナー の道へ進みました。
個人事業として独立し、今年で13年になります。

なぜ奈良ではなく、宍粟だったのか?

自然の豊かな奈良で育っているのに、なぜ宍粟を選ばれたんですか?

まず、パーソナルトレーニングのお客さんの“実家”が宍粟だったんですよ。

野菜作りがしたいと話したら、「うち、畑だらけだから見に来る?」と声をかけてもらって。
月1〜2回通ううちに千種町の自然や空気、水の“純度”に惹かれました。

奈良が悪いとかではなく、千種の自然に一目惚れしたという感じです。
最終的な決め手は、近くの川に足を入れた瞬間、“ここだ”と感じたことですね。

自然栽培を選んだ理由

今も自然栽培・有機栽培をされていますが、その理由は?

観光栽培(農薬・化学肥料)を否定する気持ちは全くありません。
ただ、自分は 自然界の循環そのものを観察したかったんです。

有機物が微生物によって分解され、野菜や虫が育っていく――
その自然の“流れ”を深く知りたくて、このスタイルを選んでいます。

やってみて分かったのは、「自然は分かったつもりにはなれない」ということです。
分からないことの方が圧倒的に多くて、またそれで良いものだという風に思っています。

「農業で生計を立てる」ことをやめた理由

松下さんのInstagramのリールで「農業を辞めます!」と話題になっていましたが…?

あれ、誤解が多かったんですよ(笑)

辞めるのは 「農業を生業のメインにすること」 であって、
野菜作りそのものを手放すわけではありません。

背景には、“自然を観察する時間を何より大切にしたい”という思いがあります。
その結果、生産に求められる効率を追い続ける働き方が、自分の価値観と合わなくなってきました。

自分が大事にしたいものに合わせて、働き方を少し変えました。
農業も野菜作りは、これからも続けていきます。

3拠点生活のリアル

3拠点生活のバランスはどうなっているんでしょう?

だいたいこんな感じです。

宍粟市:週2〜3日
芦屋市:週1日
多可町:週3日(会社勤務・車中泊)

多可町では車が家です(笑)

よく「いつ休んでるんですか?」と聞かれますが、
自分の中では毎日が休みであり毎日が仕事。

“好きなことをしている時間=仕事” という感覚に近いです。

都会と田舎、どちらが良いのか?

都会と田舎の違いは何でしょう?

どちらも素晴らしいと思っています。

違いがあるとすれば、人付き合いの距離感 ですね。

都会も場所ごとに違うし、田舎も地域でまったく違う。
良い悪いではなく、“どう自分が受け止めて楽しむか” が大事だと思っています。

多拠点生活だと環境が常に変わるので、麻痺せずに自然も都会もどちらも新鮮に感じられます。

今後の夢 〜「何もしない時間」と「小料理屋」〜

今後の夢や目標はありますか?

究極は 「何もしない時間を確保すること」 です。

静かに星を見て、ぼーっとする時間が大事だなと。
あとは…料理が好きなので、自家菜園の野菜と地元食材で小料理屋をやるのが、いつか叶えたい夢ですね。

“ぼーっとしながら来たお客さんとしゃべって酒をかわす”…
それ以上の夢はないですね(笑)

移住を考えている人へメッセージ

移住を考えているということは、心のどこかに理由や違和感があるはずです。

大事なのは、「自分がなぜ移住したいと思っているのか」をまず自分で認識することかなと。

利便性・医療・学校などは調べればわかります。

最終的な決め手は、自分がその土地で何を感じるか(フィーリング) です。
僕が千種を選んだのも、川に足をつけた瞬間の感覚でした。

実際に足を運んで住民や役場の人と話した時の感覚、ご縁のある場所には自然と導かれると思いますよ。

おわりに

本日は、松下さんに3拠点生活・自然栽培・移住のリアルについてお話を伺いました。
農業を“やめる”のではなく、
“自分の価値観に合わせて続ける形を変えた”という言葉が印象的でした。

これから移住したい方にとって、大きなヒントになる内容だったのではと思います。
松下さん、ありがとうございました!

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